ガーボンタ・デービスとワシル・ロマチェンコ。
日本人にとっては、あまり馴染みのない名前かもしれませんが、それぞれスーパーフェザーとライト級のWBAスーパー王者です。
この前ジャイアントキリングでクリストファー・ディアスを倒した伊藤雅雪もスーパーフェザーですね。
本当に激戦区です。
ワシル・ロマチェンコは先般ホルヘ・リナレスを倒したことでも知られていますが、気になるのは次の相手。
日本の村田選手も「ホルヘが倒せなければ誰も倒せない」と明言している通り、今後の相手探しは難航すると思われます。
その中で、今候補の一人がWBAスーパーフェザーのスーパー王者ガーボンタ・デービス。
今日はこの二人の対戦の可能性、そして実現した場合の勝敗予想をしていきます。
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WBAスーパーフェザー級スーパー王者ガーボンタ・デービス
日本ではそこまで馴染みのない選手ですので少し紹介を。
1994年生まれの23歳。
若くて勢いがあります。
身長は166cmとスーパーフェザーでは少し小さい方かなというくらいなのですが、見るからに喧嘩早い顔つきと、その体付きから「Tank(戦車)」というニックネームがつくくらい、パワーは抜群です。
賛否両論あるかもしれませんが、リング内外で暴れまくっています。
幼馴染の男性を殴ったり、体重超過をしたり。。
もちろん褒められた事ではありませんが、そういうスキャンダルもあり、この選手への注目度は抜群。
エイドリアン・ブローナーの影響か、と思ったらやっぱり2人は仲が良く、共にトレーニングキャンプを張ったりしていますね。
現在まで20戦20勝19KOのパーフェクト。
オリンピアンのホセ・ペドロサ戦でIBFの同級王座を獲得し、2度目の防衛戦となるはずだったフランシスコ・フォンセカ戦では規定体重を守れず剥奪。
基本的にファイトスタイルは20戦全て一緒。
特徴的なのは、相手との中間距離を一気に潰し、飛び込みで左右どちらでも仕留められる事。
また、連続のアッパーでKOする事も多いですね。
組まれればかなり強引に振り回し、パワー勝ち出来る分かりやすい選手です。
特に体重超過したフランシスコ・フォンセカ戦はデービスの性格が出た1戦。
印象として、フォンセカはデービスに飲まれてしまっている感が否めませんでした。
日本だと体重超過が絶対悪のようになっていますが、デービスはお構いなし。
逆に他の試合よりもパフォーマンスが目立つ試合になりました。
ロイ・ジョーンズやハメドのように様々な角度からパンチが打てますが、荒っぽいので中々当たらず、序盤は軽いジャブの被弾が目立ちます。
大体どの試合もそんな感じです。
4ラウンド目には、ロイ・ジョーンズさながら手を後ろに組むパフォーマンスも。
勝負が決まったのは8ラウンド目です。
8ラウンド目開始早々に入ったデービスのラビット気味のパンチがフォンセカに入り、フォンセカは立ち上がる事が出来ずそのままカウントアウト。
体重超過のうえに、さらにラビットパンチ。
普通はここまでかと思いますが、デービスはさらに火に油をそそぎます。
後頭部を打たれて四つん這いでうずくまるフォンセカの隣に行き、からかうように、デービス自身もそのポーズをものまね、観衆からは大ブーイング。
なんという精神力の強さ。
「このボクサーがやられているところを見たい」
という観点から、さらに「人気」は爆発するでしょう。
ジャブもするどいですし、フットワークは軽快。
時折見せるL字ガードで、ただのランカーであればいなせるディフェンス力は持っています。
ジャブに合わせたカウンターアッパーも武器の一つで、フォンセカ戦ではそれが7ラウンド目に決まり、ぐらつかせました。
正直ラビットパンチがなくとも、楽勝な相手でしたね。
フォンセカの次の相手、今年4月の対へスス・クエジャル戦でスーパー王者のベルトを手に入れ、現在に至ります。
では、このデービスの次戦。
この問題児を止めるのは誰なのか?
丁度マルコス・マイダナがエイドリアン・ブローナーを仕留めたときのように、ボクシングファンはデービスがやられるのを切望します。
その筆頭が精密機械ワシル・ロマチェンコ。
このデービスと、最近階級を一つ上のライトに上げたロマチェンコとの1戦。
実現すれば楽しみですね。
野生対精密機械という図式でプロモーションもしやすいでしょう。
では、この試合が実現するか否かに関して考察をしていきます。
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ガーボンタ・デービスvsワシル・ロマチェンコの1戦の実現可能性

試合を実現に移すためには、もちろんボクサーの希望のみでは決まりません。
プロモーターなどの意向が大きく影響してきます。
デービスはメイウェザープロモーション、ロマチェンコはボブ・アラムのトップランク所属。
金銭面的に実現が容易ではないのは火を見るより明らか。。
それ以前に、デービスと所属するプロモーション側で若干ですが、いざこざがあるようです。
デービスの所属するメイウェザープロモーションを実質仕切っているのは、もちろんフロイド・メイウェザー。
デービスの練習にメイウェザーが付き添っているシーンも動画で確認出来ますし、デービスの試合にはメイウェザーもリングサイドにおり、試合後インタビューされたりもしています。
この2人の出会いは2015年。
ブローナ―のトレーニングキャンプを訪れたメイウェザーが彼に出会い、その才能にほれ込み、自身のプロモーションに引き抜きました。
デービス勝利後のインタビューで「future of boxing」と絶賛しています。
ただ、このデービスとメイウェザー、やはりどちらも自我が強く、従順な師弟関係というわけにはもちろんいきません。
真実をキャッチしているメディアはなく、真相はメイウェザーとデービスの心の内といった感じなのですが、本人のツイッター、メディアインタビューなどから、大体以下のような事だと思われます。
メイウェザー側は、デービスの意見を聞かずにメディアに対してロバート・イースタ・ジュニアや、ワシル・ロマチェンコと戦わせたいと明言しており、しかも前者のイースター・ジュニアはデービスの盟友です。
選手の意見を全く聞かないプロモートにデービスは嫌気がさしているように見受けられます。
メディアインタビューで、デービスは現在自身の他4人いるスーパーフェザーを統一したいと言っています。
計量に一度失敗しているのに何を言うんだと言った感じですが、それが本人の意向みたいですね。
対してメイウェザーは、主戦場をライト級へ移させたいみたいで、そこにロマチェンコやイースター・ジュニアがいました。
ちなみにイースターはこの前マイキ―ガルシアに統一戦で敗北し、王者ではなくなっています。
デービスの体格を見る限り、スーパーフェザーは若干きつめかなといった印象ですが、統一しやすいのはスーパーフェザーですね。
今のままなら長期政権も可能でしょう。
ミゲル・ベルチェルトが強敵ですが、ここをクリアすれば、アルベルト・マチャド、デヴィン・ファーマー、そして日本の伊藤とそこまでの難敵はいません。
130ポンドに留まりたいデービスと、階級を上げさらにビッグファイトを狙うメイウェザー、話し合いの場は持たれていないようで、デービスはこんなツイートをしています。
「Let’s just spar and get it off our chest」
スパーして言いたい事を吐き出そう、といった内容ですね。
相手がメイウェザーだとは明言していませんが、略間違いなしです。
デービスの最新の試合であるへスス戦では、リングサイドにメイウェザーの姿は見られませんでした。
2人の関係が良好でない事は100%確かです。
もしやメイウェザープロモーション離脱の線も考えられますが、続報を待つしか出来ません。
では、ロマチェンコ側はどう考えているのかというと、ロマチェンコ自身はスーパーフェザーに下げる事はせず、デービスがライトに上がってくるなら試合してもいいとメディアに言っています。
彼のプロモーターであるボブ・アラムは、メイウェザープロモーションから接触があったと伝えており、「メイウェザーはデービスに負けて欲しいんだ」とメディアに答えています。
それくらいの自殺行為だということでしょう。「どうせ負けるからやめておけ」というのが、ロマチェンコ側からの意見。「まずメインで試合してからにしろ」とロマチェンコ自身も言っています。
この2人の対戦は完全に青写真の段階。
試合実現に向けて動いているのはメイウェザーのみで、相手側はもちろん自身の選手にその意向がないとすれば、タンクvs精密機械の戦いは、見れない可能性が高いです。
デービスがスーパーフェザーを制しライトに階級を上げたとき、そこにまだロマチェンコがいれば話は別ですが、かなり後の事になるでしょう。
ロマチェンコは、リナレスとの試合で自分はライトでかなり小さい方だなと感じたらしく、しばらくはライトにとどまるでしょうが、そこにデービスが入っていければ実現可能性はあります。
では仮に戦ったとしたら、どちらが勝つでしょうか?
ロマチェンコ対デービスの勝敗予想

これは間違いなくロマチェンコですね。
この前対リナレス戦でロマチェンコがダウンし、精密機械も狂うんだと思われていますが、あのドンピシャのタイミングでのパンチはそうそう打てるものじゃありません。
ロマチェンコが右側にステップインしようとし、ほんの一瞬足がそろったところにリナレスの右一閃。
その後、これも一瞬でしたが遅れてロマチェンコの左ガードが入りましたが間に合わず、ダウンを喫します。
ちゃんとガードをしようとしていたのがロマチェンコの凄いところです。ではこの一瞬をデービスが突けるかというと、かなり難しい。
デービスはハンドスピードというよりも、飛び込みなどのボディスピードが突出しているので、これはロマチェンコにいなされると思います。
過去の試合でロマチェンコが闘牛士のようなポーズで相手をおちょくっていたシーンがありましたが、丁度あれと同じ運命をたどりそうな気がします。
さらにデービスはガードの甘さが玉に傷。
調子に乗ってくるとL字とヘッドスリップでかわせるのですが、序盤のジャブ被弾が多いので、そこをロマチェンコに畳みかけられる可能性が高いですね。
メイウェザーがデービスをロマチェンコと戦わせようとしているのが、注目を集めるためのフェイクだとしたらそれは成功しているとおもいますが、リアルなら相当危険です。
選手側との意見の相違もあってしかるべきで、かなり無謀な挑戦といえるでしょう。
「future of boxing」への期待は分かりますが、まだ23歳。そこまで急がなくてもいいんじゃないかと思います。
まとめ
以上、デービスとロマチェンコの対戦可能性とその予想に関して書かせて頂きました。メイウェザーの周りはスキャンダルが多くて話題に事欠かないですね。
それも含めてボクシングです。リング外の出来事が、2人が戦うまでのストーリーを作り、ファンはそれに魅了され、その試合に注目をするのです。
もし、実現すればかなりの壮大なストーリーになることは間違いありません。
現時点ではロマチェンコの勝ちが濃厚ですが、スーパーフェザーでさらに実績を重ねればチャンスがない事もない。
誰もが認める強敵との試合、メインを張れる試合、この2つをクリアして、デービスには堂々と対ロマチェンコ戦を実現させてほしいと思います。
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