現在、WBOスーパーフェザー級2位の伊藤雅雪。
7月28日(日本時間29日)、アメリカフロリダ州に乗り込み、同級1位のクリストファー・ディアス選手と王座決定戦を行います。
共にまだ王座になっていない者同士の一戦。
この試合は、ワシル・ロマチェンコの同級王座返上に伴い、空位となったため生まれた決定戦です。
今回は、この2人の戦いの予想をしてみたいと思います。
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1.伊藤雅雪とは?
伊藤雅雪という名前を聞いたことのあるボクシングファンはそう多くはないと思います。
しかしもしかしたら、7月28日以降この名前がニュースをにぎわすかもしれません。
彼は伴流ジム所属のプロボクサー。この伴流ジムでさえそこまで名前は通っていませんね。やはりいまだに世界チャンピオンは輩出していません。
現在WBOスーパーフェザー級第2位。
ちなみに主要4団体全てでトップ10入りしています。
現在スーパーフェザーはガーボンタ・デービスという濃いキャラクターや、打撃戦を得意とするメキシコのミゲール・ベルチェルトなど、錚々たるメンバーがそろっています。
WBOと、さらにIBFも空位なのですが、彼が狙うのはWBOのタイトル。
伊藤選手は戦績だけを見るとなかなかのもの。
現在25戦23勝12KO1敗1引き分け。
大学生でプロデビューし、そこからは全日本新人王、東洋太平洋王者と、世界挑戦への王道ルートを走ってきました。
日本王者だけは獲得しておらず、その代わりと言ってはなんですが、WBC世界ライト級のユース王者を獲得しています。
ユース王者というのは、18歳以上24歳未満が挑戦できる王座のこと。色々王座があるのも考えものですが、なかなか金銭的な問題で世界挑戦のチャンスに恵まれない若手ファイターにとっては嬉しいかもしれません。
伊藤のいるスーパーフェザーは、かつて内山や三浦がいた階級。それに比べると伊藤のKO率は少しさびしく見えてしまう感が否めません。
どんな選手なのかなと思い、最新の2018年3月に行われた対ベルゲル・プトン戦を見てみました。
この試合の前に東洋太平洋王者を返上しているので、ノンタイトル戦。世界戦前の調整試合みたいなものでしょう。
良い所は、体格がよく1発1発が重そう。
よく決まっていたのは、ストレート、左フックのコンビネーション。右がノーモーションで打てているので、それは武器だと思います。
ではなぜKO率が50%以下なんだと言われそうですが、スピードが少し足りないですね。
手数もそこまで多くはない。
重くても、見えるパンチ(来るのがわかるパンチ)というのはあまり効かないので、それが原因なのかもしれません。
かといってディフェンス型というわけでもない。ベルゲル・プトンは後述するディアスより明らかに劣りますが、結構良いのをテンプルにもらってしまっています。
ボディジャブも多用するのですが、ボディジャブは相手の打ち下ろしのところに頭が来るので、すぐにバックステップを取らないといけないのですが、それもゆっくりしていて危険です。ディアスならそこを見逃さないでしょう。
あとすぐに頭が下を向いてしまうのも、悪い癖。
試合は伊藤選手が9回TKO勝利。
武器といった右、しかもダブルで倒しました。このダブルの右は、日本王者に挑戦した内藤律樹にもくらわせていましたね。
ただ、映像のせいかもしれませんが、やはりスピードのなさが致命的。
もしかしたら映像のせいなのかもしれませんが、プトンクラスはもう少し楽勝してほしかったです。スピードは対内藤戦の方があったように思えます。
ネットの反応などを見ると、スピードが武器と書いてあるのですが、実際見てみるとそうなのでしょうか。。
映像だけを見ての判断ですが、伊藤選手圧倒的不利でしょう。ボクシングもそうですが、今までの試合がすべて日本国内、しかも都内という「慣れた場所」というのも、今回伊藤選手の勝つ確率を下げる要因です。
何より相手のディアス。勢いのある選手です。
2.クリストファー・ディアスとは?
戦績は23戦23勝無敗。
もう無敗というのは珍しくありませんね。驚かなくなってきました。
23勝のうち、15がKO勝ち。KO率は60%を超え、伊藤選手を上回ります。
プエルトリコ出身で、同じプエルトリコのフェリックス・ベルデホと同時期に、トップランクから期待の選手として売り出されたみたいです。
フェリックス・ベルデホは交通事故で体を痛め、その復帰戦でTKO負け。
ディアスはベルデホの陰に隠れてしまってあまり目立てていませんでしたが、世界挑戦のチャンスを先に掴んだのはディアスの方になりましたね。
ちなみに私はベルデホを1度見てめちゃくちゃ格好よくて絶対世界王者にすぐになると思っていたので、残念です。。
クリストファーディアスの最新試合、ブラリオ・ロドリゲス戦はフルファイトの試合がなかったので、文字情報のみとなりますが、NABO北米スーパーフェザー級タイトルマッチで行われ、4RTKO勝利となりました。
同王座を初防衛した形となります。
一目見て分かりますが、明らかに伊藤選手よりスピード・パワーを持っていることが分かります。何より決定力がある。
武器は左。
KOハイライトだけを見ると、派手な戦いをする選手に見えますが、試合のフルファイトを見るとガードも堅実。高いガードから、相手が近づいてきた所で左フックを小さく細かく打っていきます。
そして効いたと分かれば完全に獰猛化。
特にカール・ガルシア戦の静から動への変化は凄かった。伊藤選手にないものは、まさにそれです。
序盤から最後までほぼ一定のペースで進む伊藤選手は、自分のペースに持ち込めれば力を発揮できるのですが、ディアスのようなパワー&テクニックを併せ持つ選手に対しては中々難しいでしょう。
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3.伊藤雅雪ビッグアップセットはありえるか?
ビッグアップセットがあり得るか、ないか。それが分からないからアップセットなんですが、十分ありえるでしょう。というか、やるっきゃありません。
伊藤が勝つなら判定勝利、ディアスならKO勝ち。
この図式でしょう。
伊藤のバックステップで相手のパンチをよけてからの、いきなり右カウンターが決まるか?
後半戦でディアスがへばったところを体格差を利用して、押せ押せで潰せるか?が、伊藤勝利の道筋になってくると思います。
それにしても、最近日本人のアメリカでのタイトルマッチなり、ビッグマッチが増えているのは良い事ですね。
日本人ではありませんが、日本のジム所属のリナレスがロマチェンコ相手にダウンを奪い、亀海がミゲール・コットに挑戦し、木村翔は中国ながら英雄ゾウ・シミンを壊しました。
伊藤の挑戦は、木村翔の挑戦に似ていると思います。下馬評では完全に不利。勝つ確率などほぼ0に近い。しかしそれでも木村は持ち前のスタミナで粘り勝ちした。
さらにゾウと同じくアマ・エリートの五十嵐にも勝利。エリート狩りを続けています。伊藤も勝てればマスクは良いので人気が出る事間違いなし!
同じスーパーフェザーの尾川も、ネバダ州ラスベガスで、王座奪取をしており、良い流れは来ています。
伊藤もその流れに乗れるか?
7月28日、注目です!
4.まとめ
ファイトスタイル、パワー、スピード、どれをとっても伊藤圧倒的不利。
武器のカウンターライトでディアスの鋭い踏み込みを弱らせ、判定まで持ちこたえられれば、勝機はあります。
かなりの苦戦が予想されるのは覚悟のうえ。
これを落せば、おそらく次のチャンスは早々に回ってこないでしょうから、背水の陣で臨んでほしいです。
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