激戦区に挑む日本人・亀海喜寛は世界王者になりえるか?

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亀海喜寛。

現在帝拳ジムに所属する、1982年生まれの現在35歳プロボクサーです。

今の主戦場は、ボクシングの本場アメリカ。

 

なぜ彼がアメリカを主戦場とするのか?

それは、彼が戦う階級が日本国内にいてはタイトルマッチの機械すら与えてもらえない激戦区であるからです。

 

今日は、この亀海喜寛に関して書いていきたいと思います。

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日本国内には完全に敵なし!

高校ではインターハイライト級優勝、大学時代国体制覇、全日本選手権も制覇したアマチュア3冠の実績を引っ提げ、2005年にプロデビューをしました。

もう13年選手ですね。ベテランといっていいでしょう。

 

私が亀海選手を知ったのは、日本スーパーライト級タイトルマッチ。

彼の15戦目で初の日本王者への挑戦です。

この時まで、亀海の戦績は14戦14勝12KOのパーフェクトレコード。

 

相手は小野寺洋介山(ようのすけざん、と読みます)。

この試合を見て、亀海は絶対将来世界王者になると思いました。

 

日本人には珍しいL字ガード。

テクニカルなディフェンステクニック。

小野寺選手の連続ワンツーをヘッドスリップのみでよける目の良さ、当て勘のよさ。2010年の試合で、今は動画が残されていないのですが、今でも鮮明におぼえています。

 

相手の小野寺選手は全日本新人王と獲得し、スーパーライト級で13度の防衛記録を持つ木村登勇選手から王座を奪った実力者です。

 

その小野寺選手がはっきり言って何も出来ていませんでした。

その時あまりボクシング界に対する知識のなかった私は、亀海選手がすんなり世界チャンピオンになるんだろうなと思っていました。

 

小野寺戦後も連戦連勝。

一度の引き分けは挟むものの、順調に勝ち星を重ねていきます。

 

彼の転機は2013年2月2日、後楽園ホールでホセ・アルベルト・レアルとの戦いに勝利後、アメリカを拠点に活動していくことを明言します。

 

本場アメリカで戦う日本人

今でこそ、西岡利晃、三浦隆司、井上尚弥、伊藤雅雪など本場アメリカで試合をし、注目を集める選手は多くなっています。

 

しかし、亀海が他の選手と違う所は、ボクシング17階級ある中で最激戦区のスーパーウェルター級で戦っていること。

 

亀海が海外に積極的に出て行った理由もここにあります。

ウェルター、スーパーウェルターは欧米選手の体格に最もあっており人気階級。

正規4団体の王者達も、名前のある選手ばかりです。

 

スーパーウェルターには今ジャレット・ハード、ジャーメル・チャーロ、そしてハメイ・ムンギア。

どの選手も人気抜群です。

1階級下のウェルターには、今パッキャオもいますね。

 

大手プロモーター傘下の選手が多く、日本でこの階級の世界戦が開催されることは現在、まずありません。

 

この階級で王者になるためには、本場アメリカで名を売り、タイトルマッチのチャンスを待つしか方法はなかったのです。

 

これは、亀海が所属する帝拳だからこそ出来たのだと思います。

他ジムのウェルター、スーパーウェルターの選手が海外に行こうと思っても、突出した能力とアメリカ市場との太いパイプがないと出来る事ではありません。

 

世界との壁

ウェルター、スーパーウェルターでの層は本当に厚い。

亀海選手の海外進出を通して、まさにそう感じました。

 

あれだけ日本国内で敵なしのパフォーマンスを見せていた亀海選手が、本場アメリカ本格デビューで対ヨハン・ペレスに判定負けをします。

 

ただ、亀海選手の打たれても打たれても前に出る姿勢は、アメリカボクシングファンの心をつかみ始めます。

 

日本でスーパーライト級で戦っていたときは、亀海選手はどちらかと言えばテクニックを見せる選手でした。

上述の小野寺戦がいい例です。

本人も言う様に、ディフェンスに比重を置いていたとのこと。

 

しかし、アメリカ進出でウェルターに上げた亀海選手は、ガードを固めながら前に出るインファイターのように変化します。

 

ゆえに被弾が確実に多くなりました。

亀海選手の最近の試合パターンを見ると、顔を隠すようなガードで前進し、相手に何発か打たせてから自分も手を出す。

 

このスタイルの変化はなぜ起こったかというと、本場アメリカの、しかも最激戦区のボクサー達に、日本国内で通じていた自身のディフェンステクが通じないと痛感した。

もしくは、ディフェンス重視のスタイルでは人気を得られず、世界挑戦のチャンスもめぐってこないと亀海選手が考えたからだと思われます。

 

正確には失念してしまいましたが、雑誌のインタビューで亀海選手自身がそう言っていた記憶があります。

 

このスタイルは効を奏し、亀海選手は多くのアメリカボクシングファンの目の留まる所となります。

 

メイウェザーとも戦った元4階級制覇王者のロバート・ゲレロ戦では、一歩も引かない打ち合いを見せてくれました。

 

その後日本人として初めてゴールデン・ボーイ・プロモーションズと契約。

よりビッグマッチがしやすい環境となりました。

 

亀海もスーパーウェルターで王者が獲れるかも、と思わせてくれたのは、へスス・ソトカラスとの2戦。

 

へスス・ソトカラスは負けも多いですが、激闘王と呼ばれるほどの攻撃重視ファイター。

人気も抜群で、マルコス・マイダナ、アンドレ・ベルト、キース・サーマンとの対戦経験を持っていた選手です。

 

1戦目はドローとなりましたが、2戦目はソトカラスに打ち勝ち、ギブアップを奪います。

そして次戦、おそらく日本ボクシング史上最大の挑戦が彼を待っています。

 

世界の中心に最も近づいた日本人

 

ミゲール・コット対亀海喜寛。

ミゲール・コットはボクシングファンであれば誰もが知っているであろうビッグネーム。

負けてはいるものの、マニー・パッキャオ、フロイド・メイウェザーと激闘を繰り広げた選手で、元4階級制覇王者。

 

間違いなく、2000年代中量級の中心にいた選手です。

亀海にとっては、待ちに待ったWBOスーパーウェルター級タイトルマッチとして行われました。

 

コットは前回の試合でアルバレスに判定負け。

試合間隔も2年弱空いています。

歴戦の雄とは言っても数年前の話、ソトカラスに押し勝った亀海であれば、可能性がない事もない。

勝てば、日本ボクシング史上に残る最大の偉業。

日本のボクシングファンは期待の目をもってこの試合を見ていました。

 

しかし、見せつけられたのは世界と日本の圧倒的な差。

いつも通り固いガードで前進する亀海でしたが、コットにボディワークでいなされ、被弾を繰り返す。

 

尋常ではないスタミナで前進を繰り返す亀海でしたが、コットのサイドステップからのブローは秀逸。

レジェンドっぷりを見せつけられました

 

気持ち、スタミナでは、如何ともしがたい壁もある。

そう思い知らされた36分間だったと思います。

結果は3-0の大差判定負け。

 

しかしながら、日本人がボクシング界の中心に最も近づいた時間であったことは、間違いありません。

 

亀海は世界王者になれるのか?

 

この問に対して、「難しい」そう答える識者は多いと思います。

というのも、亀海はつい先日、コット戦以来の復帰戦を行いました。

 

相手はグレグ・ベンデティ。

スーパーウェルターの10回戦として行われ、結果は判定負け。

 

今後のチャンスをつかむなら、ここには勝ってほしかったですね。

この敗戦で、「亀海はもう終わり」と見たファン、主催側も多かったでしょう。

 

強者ひしめくスーパーウェルターにおいて、良い所なしの判定負けは次戦のチャンスを失います。

 

亀海が勝ったり負けたりを繰り返しながらビッグマッチにありつけていたのも、そのファイトスタイルから。

今回はダウン等もない一般的な試合。

これに負けてしまっては、世界戦に勝てる勝てない以前に、その機会を貰えないでしょう。

 

対グレグ・ベンデティ戦の敗戦は正直残念でした。

激戦のスーパーウェルターで日本人がどこまで食い込めるのかを、亀海を通してみてみたかったですが、逆に思い知ったのは、やはり世界との壁でした。

 

まとめ

日本人未開の地、現代ボクシングスーパーウェルターに挑む亀海選手の事に関して書かせて頂きました。

 

先日のグレグ・ベンデティ戦を見る限り、今後の世界挑戦は非常に困難を極めると予想します。

しかし、彼が作ってきた海外進出ロードは、今後多くの日本人選手の参考になると思います。

 

ロバート・ゲレロ、ミゲール・コットのレジェンド2名と激闘を繰り広げた日本人は彼の他になし。

 

まさに世界の中心に最も近づいた日本人です。

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