木村翔対フローイラン・サルダールのWBOフライ級タイトルマッチ

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日本人が絡むタイトルマッチとしては、結構異例づくめ。

試合の発表は異例の8日前発表、さらに場所は中国・青島。

 

その日本人は、2017年7月中国の英雄ゾウ・シミンから超が付くほどのアップセットを成し遂げ、さらに同年大晦日でアマエリートの五十嵐俊幸を撃破した男、木村翔選手。

 

ある意味今一番勢いに乗る日本人かもしれません。

王者としての木村翔選手が迎えるのは、フィリピンの同級4位ビッグ・サルダール。

 

今回はこの試合を掘り下げていこうと思います。

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アマキラー・木村翔選手

中学3年生でボクシングを始め、高校ではグレてボクシングから離れ、23歳の時に再開。

しかもプロデビュー戦は1ラウンドKO負け。

この選手が将来敵地中国で、しかもその国の英雄を倒すことなど、誰が想像しえたでしょうか?

 

日本で最も暑い場所の一つ、埼玉は熊谷で育った木村翔選手は、今日本どころか中国全土を熱くするファイターになっています。

 

この木村翔選手。その名が最初に知れるようになったのは日本ではなく、中華人民共和国。

ロンドン、北京とオリンピックをなんと2連覇し、世界選手権は2度制覇、アジア競技大会も2度制覇した超が付くほどのアマチュアエリート、ゾウ・シミンを、しかも敵地・中国で下し、「中国で最も有名な日本人」の一人となっています。

 

ではまず、木村翔選手翔の戦績から見ていきましょう。

冒頭で書かせていただいた通り、プロデビュー戦はKO負け

 

ただ、この敗戦が木村翔選手を強くしたようです。

もう2度と負けたくないという思いにかられ、より練習に身を入れ、現在フルラウンドでも手数の減らない驚異のスタミナを手に入れました。

 

私自身、木村翔選手と後楽園ホールの控室で会ったことがあります。

本当にそこら辺にいそうな兄ちゃんという感じで、いい意味でオーラはゼロ。

この人が本当に世界で一番強い男なのか?というのが第一印象です。

 

この木村翔選手、全日本新人王も、日本王者も、OPBF王者も獲っていません。

WBOフライ級王座を獲得する前、所有していたのはWBOアジア太平洋フライ級王者。

 

OPBFはWBC傘下のアジア・太平洋地域の王者で、WBOアジア太平洋は、その名の通りWBO管轄のアジア・太平洋地域の王者です。

 

OPBFは本部が日本にあるので、日本人には馴染み深いですし、権威はあると思います。

様々な王者の乱立は考え物ですが、全く名前のなかった木村翔選手にとって、このベルトはゾウへの挑戦権を手にする良い切符だったと思います。

 

さらに、木村翔選手がWBOアジア太平洋のタイトルを獲得したことは、ゾウにとっても好都合だったでしょう。

というのは、ゾウは対木村翔選手戦の前にそれまで所属していたトップランク、さらにはチーフ・トレーナーだったフレディ・ローチと袂を別れています。

 

トップランクから離脱し、自身のプロモーションを立ち上げ、その杮落としのイベントとして対木村翔選手という防衛戦が行われたという流れです。

その第一弾のイベントで失敗するわけにもいきませんし、そこまで弱い相手を招聘しても中国のファンが喜ばない。

 

そこで白羽の矢がたったのが木村翔選手翔だというわけです。

そこまで強いというわけではないが、一応タイトルは持っている、というお茶の濁し方。しかし、結果はゾウにとっては思いもよらないものとなりました。

 

この木村翔選手対ゾウ、序盤から中盤は、やはりゾウが「これぞアマエリート」というパフォーマンスを随所に見せます。

 

ゾウのプロモーションで、やはり映像も荒いものしかありませんが、主だった点を見ていきましょう。

 

フレディ・ローチから離れた所以なのか、攻撃型ではなくステップで相手の攻撃をかいくぐり、自身の攻撃はタッチボクシングのような感じで展開していきました。

 

それに対し木村翔選手は思い切りの良い左フックや右ストレートを主体にゾウに襲い掛かります。

そしてさすがアマエリート、左右に体を入れ替えながら、木村翔選手のパンチをさばいていきます。

完全な省エネボクシング。

ホームタウン中国でなければ、ブーイングは避けられなかったでしょう。

 

しかし、木村翔選手はパンチをいなされる展開が続くものの、徐々にゾウを後退一方にしていきます。

 

結果を知っているから言えることかもしれませんが、この時のゾウはボクシングだけに集中できる環境では決してなかったと思います。

 

自身のプロモーションの設立、イベントの運営・管理、中国各メディアの取材、そして新しいチーフ・トレーナー等様々練習に集中できない環境があったようなので、体にもシェイプさがないように思えました。

 

そのゾウに、木村翔選手は楽をさせません。

多少被弾しても、空振りしても、最終11ラウンドまで手を出し続けました。

 

そして11ラウンド、右ストレートできっかけをつかみ、最後は左右のラッシュでゾウを諦めさせました。

11ラウンドのパンチが効いたというよりも、1ラウンドからのダメージの積み重ね、どれだけパンチを当てても前に出てくる木村翔選手に対して、もう諦めの念の見受けられるようなダウンの仕方です。

 

アマエリートのゾウに対して、最後まであきらめず攻め続け、さらに勝利を掴む姿は、中国のファンにも受け入れられ、「中国で最も有名な日本人」の一人になっています。

さらに所属する高田馬場の青木ジムにも中国のファンが押し寄せているようですね。

 

そして、王者になってからも酒屋で配達のバイトを続けている姿は、敗戦後色々言い訳を繰り返してしまったゾウと対照的に、より中国のボクシングファンに魅力的に映ったことでしょう。

 

まさにアメリカン・ドリームならぬ、「チャイナ・ドリーム」の体現者。

現在ボブ・アラムが目を光らせる中国ボクシング市場。

お金がたんまりあるであろう事は間違いなく、木村翔選手はそれを掴んだ日本人の第一人者だと思います。

 

さらに2017年の末、これもまた綺麗なボクシングをする五十嵐俊幸も9ラウンドTKOで下すなど、アマチュアエリート狩りを続けています。

 

木村翔選手のように形振り構わず突進してくるタイプは、ゾウ、五十嵐ともに苦手なタイプだったのでしょう。

普通あそこまで大振りしたりすると手数が減ったり、ガードが下がったりするものですが、木村翔選手にはそれがない。非常に大きい強みです。

 

そして2度目の防衛戦は、またしても中国。

今度は山東省青島です。

中国の客を呼べる木村翔選手のいわば「凱旋試合」は、多くのファイトマネーをもたらすはず。

 

相手は同級4位のフローイラン・サルダール。聞いたことない選手だな、と思いきや、日本人とも対戦経験がありました。どんな選手なのか、見ていきたいと思います。

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木村翔選手2度目の防衛戦の相手、フローイラン・サルダール

 

木村翔選手の相手であるフローイラン・サルダール

木村翔選手との対戦が発表されてからよく出るのは、「過去に井上拓真と戦いダウンを奪った」という事。

 

このフローイラン・サルダールの特徴は、リーチの長さ

対井上戦を見て右ストレートは伸びてきます。

さらに上体が柔らかいので、余計に伸びてくるように見えるのでしょう。

 

上体を屈めてからの、飛び込み気味の左フックも一応要注意ですが、その他特に目立った点の見つからない選手です。

トリッキーでもないですし、「よくいそうな選手」の一人。

井上選手のダウンはフラッシュダウンのようだったので、そこまで怖がる選手ではなさそうです。

 

戦績や獲得タイトルだけを見れば木村翔選手よりは格上。

現在31戦28勝19KO2敗1分。

WBOアジアインターコンチネンタルフライ級王座や、木村翔選手も持っていたWBOアジア太平洋フライ級王座など、計5つのタイトルを過去獲得しています。

2敗のうち、一つは上記の対井上戦です。

 

井上戦の時はWBC世界フライ級15位でしたが、現在はWBO4位。

相手は全てフィリピン人でその実力の程は分かりませんが、井上戦後は順調に5戦5KO勝利を続けており、勢いには乗っています。

 

ちなみに弟のビッグ・サルダールは先般WBOミニマムの王者を山中竜也選手から奪還しました。

フローイラン・サルダールのファイトスタイルは、ゾウ、五十嵐よりも木村翔選手のスタイルに近いと思います。

こう言っては失礼ですが、どちらも技術のなさを手数やスタミナで補うタイプのようです。

 

木村翔選手対サルダール、どちらが勝つか?そして木村翔選手のその後

どちらも技術で勝負するタイプではない、のは明らかです。

そうなってくると、スタミナと手数がものを言うのですが、これは断然木村翔選手に分があると思います。

2016年の試合ですが、対井上戦でのサルダールは中盤から口が空き、露骨に苦しそうでした。

 

その後5連勝しているとはいえ、相手はフィリピン国内の選手。

一応木村翔選手も世界レベルなので、井上以降最強の相手となるでしょう。サルダール木村翔選手以上にスタミナアップしているとは到底考えられません。

 

この試合、木村翔選手の勝利を予想します。

というか、木村翔選手が勝ってくれないと、次の楽しみがなくなります。

 

それは、その後の木村翔選手の相手。中京の怪物である田中恒成とのタイトルマッチです。

 

木村翔選手にとっては得意なゾウ、五十嵐に続くアマエリート、田中恒成にとっては、田中にない全国区の知名度を手に入れる良いチャンスになってきます。

 

雑草対エリートの分かりやすい図式になって、注目を浴びるでしょう。

そのためにも、木村翔選手にはサルダール戦はクリアしてもらわないと困ります。もはやホームタウンである中国で、手数で押し切るボクシングで勝ち切って欲しいですね。

 

まとめ

 

中国でゾウ・シミン、日本で五十嵐を倒し、一躍有名ボクサーの仲間入りを果たした木村翔選手翔。次戦も、もはや「ホームタウン」である中国は青島で行われます。

 

相手のサルダール共に、技術で勝ち切るタイプではなく、スタミナと手数勝負の古き良きファイター型。まだ見ていない木村翔選手の打ち合いが見れるかもしれません。

 

そして木村翔選手はこれをクリアすれば、おそらくキャリアハイになるであろう、対田中恒成が待っています。この試合が何といっても楽しみ。木村翔選手が好物にしているアマエリートですが、田中の実力は上述の2人よりも段違いなはず。

 

ただ、そう言われて勝ってしまった対ゾウ・シミン戦。木村翔選手なら、何かしてくれそうな気がします。

まずは、7月27日中国でのパフォーマンスを期待しましょう!

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