久我勇作対和気慎吾の日本スーパーバンダム級タイトルマッチ

Pocket

日本スーパーバンダム級王座をかけた、久我勇作対和気慎吾の1戦。今月の7月27日、日本ボクシングの聖地後楽園ホールで行われます。

 

この日本タイトルマッチは規模が違う。ポスターからしてカッコいい。

 

前売り券はソ―ルド・アウト。注目度の高さがうかがえます。今回は、この試合に関して考察を入れていきたいと思います。

スポンサーリンク

1.近年まれに見る国内ビッグファイト

 

日本タイトルマッチで、皆さんの心に残っている試合はあるでしょうか?

少し古いボクシングファンであれば、畑山隆則対コウジ有沢を思い出すかもしれません。

 

では他には?17ある階級で、それぞれに王座があり、それぞれにタイトルマッチがあります。

 

先般行われた日本スーパーライト級のタイトルマッチ、細川バレンタイン対デスティノ・ジャパンなど客を沸かせる名勝負も多いのですが、ほとんど話題にならないのが事実。

 

お互いのバックボーンが日本タイトルマッチにしては特殊だったので、少しヤフーニュースで取り上げられましたが、それくらいです。

 

今回の久我対和気。「史上最大のタイトルマッチ」と謳われた畑山対有沢の規模にはさすがに敵わないですが、世界挑戦に一度失敗し、そこから勝利を積み上げ再度の挑戦を目論む和気と、名門ワタナベジム期待の次世代王者久我というボクシングファンには必見の試合。

 

日本国内でも、OPBF王者大竹秀典(金子)、WBA同級王者に挑戦経験のある松本亮(大橋)、話題性十分の亀田和毅(協栄)、そしてIBF王者の岩佐亮佑などある程度名前のある選手がスーパーバンダムには揃っています。

 

そして、久我対和気の試合内容如何で、実力・話題性ともに勝者が日本国内スーパーバンダム最前線に食い込めるのは間違いありません。

 

2人とも既に世界は狙えるレベル。世界への足掛かりの試合だとも言われています。まずはお互いに日本国内での「目の上のたんこぶ」を潰しておこうという感じでしょうか。互いに強者であることは認めあっているので、自信にもなるでしょうね。

 

それでは戦うこの2人の戦績などを見ていきたいと思います。まずは、世界挑戦の経験もあり、知名度では上回るであろう和気慎吾の方からです。

 

2.リーゼントボクサー和気慎吾

和気という名前からも分かるように、岡山県出身。1987年生まれの現在30歳です。

身長は176cmで、リーチも略同様の175cm。スーパーバンダムにしては大きいほうですね。

 

左のボクサーファイターですが、何といっても特徴はその頭。リーゼントでばしっと決めています。

 

同郷の辰吉丈一郎を意識してとの事。

ちなみに、この和気の「舎弟」扱いなのがパンチパーマボクサーの山下賢哉。

 

和気が古口ジムに所属していたころ、山下が後輩としてジムに入り、パンチパーマを売りにしていこうとしたそうです。

色物かと思いきや、実力も中々。全日本新人王にも輝いていますし、この前はワタナベジムの実力者木村隼人と激闘を演じました。

 

余談はこれくらいにして、この和気慎吾。いけいけな風貌とは裏腹に、ガンガンに押すタイプではなく、スピードが持ち味の選手です。

 

スピードと見切りのよさ。これが和気の特徴ですね。ただ、それに頼ってしまい、ガードが少し下がり気味になるのが悪い癖。

 

世界挑戦となった対ジョナサン・グスマン戦はもろにそのウィークポイントが出てしまいっていました。

 

前にガンガン来るタイプではなく、相手が距離を取って戦うアウトボクサーであれば、和気に敵う選手はなかなかいないかもしれません。

 

一度後楽園ホールでまだデビューしたてくらいの和気選手の試合を見たことがあるのですが、前後のステップがとにかく早い。

さすが前のジムの会長にスカウトされただけあります。あの動きはスカウトもしたくなりますよ。

 

ただ、相手が強振を繰り返すような選手だと上述のようなウィークポイントが露わになってしまう可能性もあります。

 

和気の戦績は、現在まで31戦24勝16KO5敗2分け。

最後の敗戦は世界に挑戦したジョナサン・グスマン戦。

 

世界王者になる前の小國以載とも対戦経験があり、ダウンを奪ってのTKO勝ちを修めるなどしています。

 

その他和気との対戦が決まりそうだった選手は結構ビッグネームが揃っていて、元WBA王者のスコット・クイッグや、ギレルモ・リゴンドー、カール・フランプトンの名前があがっていました。

 

「敵前逃亡」とされており、真実は定かではありませんが、ジム・テレビ局、プロモーションの関係でこれら大物との対戦は行われず、初めての世界挑戦はグスマンに落ち着きます。

 

結果は上述の通り、敗戦。顔面崩壊といっても過言ではないくらいにやられましたが、和気も途中盛り返す場面もあり、もしかしたらという可能性を残してくれる試合でした。

 

そこから和気は今4戦4KO勝ち。KO癖が付いていると言えます。

全てパワーで押し切ったというよりも、やはりスピードの見切りのよさ、タイミングで倒しています。

 

3.ワタナベジム次期王者候補 久我勇作


ネームバリュー的には和気に劣りますが、ボクシングファンの間では久我は一定の実力を認められています。

 

現在、日本スーパーバンダム級王者の座に就いており、2度の防衛に成功中。3度目を和気を行うというわけです。

 

どちらかといえば久我は、和気と違いガンガン前に出ていくタイプ。

今までの戦績は19戦16勝11KO2敗1分け

 

ハイライトは帝拳の石本康隆との2戦。2015年末、2人は日本スーパーバンダムの王座決定戦を行い、石本が3-0の判定で勝利を飾っています。

 

その約1年後の日本スーパーバンダム級タイトルマッチ。久我は挑戦者というかたちで、石本に臨みます。

 

結果は2ラウンドKO勝ち。1年前の雪辱を果たしたことになります。キャリアの差を勢いで埋めた、という表現がぴったりの試合でした。

 

初戦は石本の老獪なテクニックに久我がはまってしまい、動きのないラウンドが続き、僅差の判定で石本の判定勝ちとなりました。

 

しかし、2戦目の久我は違った。ゴングと同時に仕掛けます。そして右フックでで初回のダウン。体が温まる前のダウンですから、ダメージは大きいと思いました。

 

35歳で29勝8KOだった石本に、久我ほどのパンチ力はありません。ただ、後半にいくと強い。その前に仕留めたかったのでしょう。2ラウンド、久我の左ボディで完全に動きが止まった石本は、セコンドからタオル投入でギブアップ。

 

久我が王者のベルトを巻きました。その後、2度の防衛戦は判定勝と1ラウンドKO勝ち。初防衛戦は右拳を骨折しながらの試合だったようで、実力が出し切れなかったようですが、2度目は1ラウンドで相手を仕留めるなど、強さは圧巻。

 

国内ランカーに敵なし、といった感じでしょうか。あと世界挑戦に必要なのは、少しの経験だけ。そこで来たのが対和気戦。2度目の防衛戦のあとに挑戦状をたたきつけられたようですが、本人も望むところだったでしょう。

 

4.それでは、久我VS和気の試合予想

久我勇作 yusaku kugaさん(@yusakun_)がシェアした投稿

前売り券等含め、すべてのチケットが完売状態のようです。

後楽園ホールに試合を見に行くと、タイトルマッチでも大体当日券は残っているのですが、それもない。

 

この試合への注目度は抜群ですね。群雄割拠のスーパーバンダムにおいて、勢力図がある程度はっきりする試合なので、ファンの目を引き付けるのでしょう。

 

久我をガンガン前に出るタイプと書きましたが、決して突進型ではありません。オーソドックで、チャンスがあれば一気に仕掛けるといったタイプです。

 

図式は、和気のスピード&見切り力と、久我のパワーといったところでしょうか。

実力均衡なので予想が難しいところですが、私は久我を推します。

 

それは過去の戦績から。久我が2度目で2ラウンドKO勝ちした石本選手、実は過去に和気選手に勝っています。

 

ボクシングは、「AがBに勝った。BはCに勝った。だからAはCより強い」という単純な方程式が成り立つスポーツではありませんが、判断材料の一つとして。

 

さらに、直近の対戦相手。久我選手は日本タイトルマッチを2戦消化しての対和気戦。試合を有利に進めながら、怪我はあったまでもKO出来なかった第1戦と、そのストレスが爆発し1ラウンドKO勝利を飾った第2戦。

 

タイトルマッチに臨む気合の入った選手を下してきたその勝ち癖はあなどれません。

 

対する和気選手。世界戦を挑戦しているという経験は非常に大きなバックボーンですが、その後の対戦相手は、はっきり言って格下。

 

グスマン戦の復帰戦の対戦相手であった瀬藤選手は、当時既に38歳。過去にスーパーバンダム日本暫定王者で、下田昭文選手を下したこともある良い選手ですが、時既に全盛期は過ぎていたでしょう。

 

その後も実力のよく分からないパノムルンレック・ガイヤーンハーダオジム、アドゥンデット・サイトーンジム、ローマン・カントと対戦。

 

久我クラスの選手がいないので、和気選手の直近の成績で和気有利とすることは出来ないですね。

 

しかも、久我選手は過去多くの世界王者を輩出しているワタナベジム。練習相手には、これでもかといっていいくらい恵まれています。

 

ただ、久我はパンチを打つ時少し押す感じになってしまうので、戻しが遅いところが玉に傷だと思います。その点からもスピードに関しては断然和気です。

 

それでも、私としては石本に雪辱を果たし、2度防衛で勢いにのる久我に勝って世界へ出てほしいと思っています。

 

 

まとめ

 

近年まれに見る日本国内タイトルマッチは、両者実力均衡のスーパーバンダム級タイトルマッチ。両者ともに世界ランカーでもあるので、これに勝ては世界挑戦のチャンスはぐっと高くなりますし、日本人バンダム級戦線で一気にトップへ行けるはず。

 

かなり意味のある1戦です。一度世界挑戦の経験があり、スピードのある和気と、日本王座を2度防衛中で勢いにのる久我。

 

はっきり言ってどちらが勝つか全く分かりませんが、だからこそ久しぶりに楽しみな日本国内タイトルマッチです。

 

勝ったら世界。この1戦の結果を楽しみに待ちましょう。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。