マニー・パッキャオ。
ボクシングファンにとって、この名前は幾多の説明を必要としないでしょう。
まさにジミー・レノン・ジュニアよろしく、「Really needing no introduction」な数少ないボクサーの一人です。
デビューはライトフライながら、スーパーウェルターまでを制覇。
しかも最初はミニマムの規定体重にすら届かない体で、それをクリアするためにパンツの中に重りを仕込んで計量をしたそうです。
実は日本で試合をしたことがあるというのも有名な話。後楽園ホールで寺尾新選手と戦っています。あのパッキャオが後楽園に来たことがあるというのも、日本のボクシングファンとしては感慨深いものがありますね。
そんなパッキャオも既に39歳。キャリア晩年であることは間違いありません。そして今年7月15日、約1年振りの試合が待っています。
相手はアルゼンチンの「KOマシーン」ルーカス・マティセ。パッキャオにとってはジェフ・ホーン以来の復帰戦になります。
今回はこの2人の対決を、様々な側面から検証していきたいと思います。
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1.マニー・パッキャオ対ルーカス・マティセ概要
この試合はタイトルマッチとして行われます。かけられるのは、WBAウェルター級の正規王者。同王座を保持するルーカス・マティセに対して、マニー・パッキャオが挑戦するという形です。
場所はマレーシアの首都クアラルンプール。フィリピンではありませんが、同じ東南アジアだということで、パッキャオのホームタウンといってもいいでしょう。
この試合が正式にアナウンスされたのが今年の4月2日。
長年コンビを組んできたフレディ・ローチとたもとを分かち、これまでアシスタント・トレーナとしてパッキャオに付いていたブボイ・フェルナンデスがメイントレーナーとしてパッキャオのセコンドに付く予定。
2.パワー
パッキャオ、マティセ共にパワーパンチャーです。パッキャオはご存じ強烈な左。だいぶ前ですが、ハンマーのような大ぶりの左フックでリッキー・ハットンを大の字に沈めたシーンが残っている方も多いでしょう。
パッキャオ紹介のVTRにも大体出てきますね。
マティセの方も諸突猛進のアルゼンチンファイター。最大の武器は右フック。これで何度もKO劇を生み出し、年間最高試合メイカーとして知られてもいます。
2人のキャリア中でのKO数を合わせると、なんと74!特にパッキャオのフライ級からスーパーウェルターまで上り詰めながらKOを量産するのは、まさにリアル・パウンド・フォー・パウンド。このパッキャオの豪快なKOに憧れる選手も多くいるでしょう。
しかし、そのパッキャオも2009年のミゲル・コット戦以降KO勝ちは生まれていません。現在までだと約9年間ですね。対して、マティセはその9年、14のKO勝ちを積み重ねています。
対戦相手も異なるので、一概には言えませんが、パワーに関してはマティセでしょうか。ボクシングには、「癖」というのがあります。
動きの癖という意味ではなく、「勝ち癖」「負け癖」の癖です。その中で、「KO癖」というのもあります。ハットンと戦っていた頃のパッキャオは、まさにKO勝ち癖が付いていたと言えます。
しかし、一度途切れると、中々戻らない。ずっと連勝していたのに、一回の負けを理由に、そこから勝ったり負けたりを繰り返す選手は非常に多いです。
私の知る限り、日本の土屋修平選手や渡部あきのり選手がそうでした。今のパッキャオには、少なくとも「KO勝ち癖」は付いていません。対してマティセの方は直近で2戦連続KO勝ち。
パワーという事に関しては、マティセの方に軍配をあげたいです。
3.スピード
スピードといえばマニー・パッキャオ。唯一日本人でパッキャオと対戦した寺尾新は、まるで千手観音のように手が出てくる。デビッド・ディアスはまるで猫のようだ、とパッキャオのスピードを評しています。
パワーはもちろんあるが、他の選手と比べてそこまで突出しているわけではない。ただ、パッキャオのスピードが圧倒的すぎて、どうしていいのか分からなくなる。
これが、パッキャオと戦った後、対戦相手から頻繁に出てくる感想です。前回のジェフ・ホーン戦ではフィジカルの違いに押された感がありますが、現在のYOUTUBEなどの動画の様子を見る限り、そこまでスピードが落ちているとは思えません。
ただ、マティセもスローというわけでは全くありません。マティセの重いパンチの連打が、ジェフ・ホーンがパッキャオに味あわせたプレッシャーを生み出すかもしれません。
スピードに関しては、パッキャオですね。
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4.経験
言うまでもありませんが、どちらも経験豊富なファイターです。二人合わせて112戦。2人ともに様々なシーンに巡り合ってきたことでしょう。
パッキャオはご存じ6階級制覇王者。デビューのフライから換算すれば、8階級を制覇しているという識者もいます。エリック・モラレス、デラホーヤ、リッキーハットン、ミゲル・コット、シェーン・モズリー、ファンマヌエルマルケス、そしてフロイド・メイウェザージュニア。
パッキャオが人気が出たのは、複数階級ももちろんですが、「この選手には勝てないだろ。。」という選手に数々打ち勝ってきたこと。特に対デラホーヤ戦はそうでした。明らかな2人の体格差、経験、パッキャオがデラホーヤに勝てるわけがないと戦前は言われました。
両者とも、ファイトマネーに目がくらんだ故の試合だと。
しかし、ふたを開けてみればパッキャオの圧勝。デラホーヤの減量苦も考えられますが、まさに千手観音のように出てきたパッキャオの手に、文字通り手も足も出てなかったですね。終盤には体格差など全く気にならなくなってしまいました。
ハイライトはもちろん対フロイド・メイウェザー・ジュニア。左でぐらつかせロープ際まで追い詰めたのは本当に盛り上がりましたね。
マティセの方も負けてはいません。ザブ・ジュダー、デボン・アレキサンダー、レイモント・ピーターソン、ダニー・ガルシア、ビクター・ポストルなどチャンピオン達と激戦を繰り広げてきています。
ただ、そうは言っても、39歳まで培ったボクシングの経験値、複数階級制覇のパッキャオの経験値にはかなわないでしょう。
色々な引き出しもパッキャオの方が多いはずです。経験はパッキャオ、これは明確ですね。
5.結論、どちらが勝つか!?
上記のことを踏まえ、どちらが勝つか?
私の予想はマティセ。決着は序盤で着くと思われます。
今回の試合に向けて勢いがあるのはマティセの方。上述の勝ち癖というやつです。
パッキャオにはそれがない。しかも対パッキャオというのは非常に気合の入るものだと思います。伝説を作ってきたフィリピン、ひいては世界ボクシング界の英雄。
その選手と打撃戦が出来るのは選手冥利につきるでしょう。ただ、後半まで粘れれば、パッキャオに勝機もあります。パッキャオは衰えたと言われますが、スタミナは十分。ただでさえ早いパンチスピードが終盤まで続けば、パッキャオの復活も十分ありえますね。
ファン・マヌエル・マルケスの衝撃KO負け以降、パッキャオはどこか防御に比重を置いてしまっている気がします。
マティセはもちろんルーキーではありませんが、ネクストパッキャオと言われた選手の一人。もちろんその超攻撃型ファイトスタイルからくるものです。アルゼンチンファイターであるゆえんなのか、同国のマルコス・マイダナよろしく、かなりのぶんぶん丸。自分のアッパーでスリップした試合だってあります。
こういう選手は勢いに乗る。私はマティセの勢いに賭けます。
6.まとめ
パッキャオ対マティセは激闘間違いなしの組み合わせ。久しぶりに、これぞパッキャオという試合が見れるかもしれないとファンは期待しています。
そして私はマティセが打ち勝つと予想しているのですが、反面パッキャオ時代が完全に終わるという寂しさもあります。
複雑な気持ちで見るかもしれない試合ですが、バチバチの打ち合い。期待大です。
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