現地時間の2018年9月15日、今年最大のビッグマッチ且つ激闘であったゴロフキン対アルバレスのアンダーカードで、日本でもおなじみの選手が再起戦を行いました。
アメリカはラスベガスで行われた再起戦を、かつてKOを量産した右で終わらせた、その男ローマン・ゴンザレス。
シーサケット・ソールビンサイに2連敗を喫してから、やっと2年間ぶりに勝者として最後までリングに立ち続けた元王者は、今後どのような動きが予想されるか?
今回はそれに関して書いていきたいと思います。
ロマゴン対モイセス・フエンテス雑感
View this post on Instagram
「なんか重い」
WOWOWでの生観戦(正しくは録画だったらしい)を見ている間、ずっと思っていました。
明らかに以前のローマン・ゴンザレスとは違う。動きのフォルムは確かに過去と同じで、調子に乗ってくればリングを弾むような感じで左のフック、アッパー、ストレートを中心に相手を追い込んでいくのは変わりません。
今回も、フエンテスを倒したのは右のショート。解説陣も同様に、以前のロマゴンに戻っていると述べていましたが、どうも腑に落ちませんでした。
いきなりネガティブな表現から入りますが、この試合を見る限り、そしてもちろん過去のシーサケット・ソールビンサイ、カルロス・クアドラス戦から見るに、現時点でロマゴンはスーパーフライにおいては適正体重ではありません。
かつてPFPトップに君臨していたロマゴンも、当然全階級を通じてのPFP10傑からは名を消し、リングマガジンが公式サイトで載せているスーパーフライ級のランキング(団体順位を考えない強さのランキング)でも現在5位に甘んじています。
ロマゴンが制覇してきたのは、ミニマムからスーパーフライの4階級。もちろんとんでもない偉業で、全ボクサーの最上位数%のみが出来る超レコードです。
ただ、スーパーフライに上げることで彼が今の所失ったのは、スピード、パワー、耐久力、そして圧倒的感。
ボクサーとして普通の選手になってしまったような気がします。決して弱いというわけではなく、かつての絶対王者の時と比べると悲しきかな事実というものです。
ミニマムからスーパーフライの体重差は4.55kg。
ボクサーとしての4.55kgは一般の人が考える4.55kgとは大きく違います。
完全に脂肪をそぎ落とした時点で4.55kg差が出るという事になり、それは贅肉の重さというよりも、筋肉の重さになってきます。
ただ、それは4.55kg分の体重増加を筋肉に昇華できた場合の話。極端な例ですが、ミニマム級の選手がヘビー級に上げて試合をすると、どうしても脂肪が多くなり、要はただのデブが試合をすることになります。
ロマゴンの身長は159cm。ライトフライの平均身長らしいです。
その体格の選手がスーパーフライ52.16kgリミットで戦うという事は、人にも由りますが、今のロマゴンには少し無理があるようです。
まず目に着いたのが、ロマゴンの顔のむくみ。
まぁ体重が事実増えているのでしょうがない面もありますが、塩分なり糖分の摂取が増え、体にためこむ水分も増えているのかなと思いました。
これでは良いパフォーマンスが出来るとは思えません。
スピード・パワー・耐久力に関しては、ひとまとめにして語れます。
ボクサーが階級を上げることの一番のメリットは、減量のストレスから解放され、より練習に集中でき、肉体的にも精神的にもより良い状態でリングに上がれることです。
その代表例が井上尚弥ですね。
ではその逆は?体重増加によりスピードが落ち、パワーは目減り、もちろん相手の打撃も強くなるので、耐久力も減ってきます。
それがまさに今のロマゴンです。
さらに言えば、スピード・パワー・耐久力が目減りしたことで余裕がなくなったのか、被弾も目立ち、試合後の顔は結構腫れていましたね。
ミニマム~フライではあまり見られない光景でした。しかも相手はモイセス・フエンテス。過去に田中恒成、比嘉大悟が軽く料理している選手です。
5ラウンドKOであるものの、そして階級は違うにせよ、田中・比嘉両選手がほぼ無傷で勝利したこの選手には圧倒的勝利が欲しかったというのが私の思いです。
以上の理由から、ロマゴン対フエンテス戦を見た感想は、
「ロマゴンは普通のボクサーになったな」です。
圧倒的感が明らかになくなりました。
「どうやって勝つのかな?」ではなく「勝てるのかな?」という心持で見ざるを得なくなっています。
ロマゴンもすでに31歳。現代はボクサーの高齢化が進んでいますが、それは1発のある中~重量級での話。体重の差がより出てくる軽量級では、今後スーパーフライを「適正体重」に出来るかというと難しいと思います。
スポンサーリンク
少し現実味を帯びてきた井岡対ロマゴン
View this post on Instagram
ロマゴンがスーパーフライに上げたのはもう2年も前の話ですが、このロマゴンと同じようにスーパーフライ級に階級を上げ、同じように4階級制覇を狙う元3階級制覇王者がいます。
井岡一翔、その人です。
引退撤回をした後復帰一戦目の舞台は、いきなりアメリカ。
トレーナー兼プロモーターだった父親とも離れ、引退前とは完全に環境を変えた状態で臨みました。
相手はマックウィリアムズアローヨ。
過去にクアドラスに勝ち、ロマゴンにも倒されなかった選手です。
復帰一発目、且つアメリカデビューの相手としては、決して楽な相手ではありません。
その相手にダウンを奪っての判定勝。
しかも驚くべきはそのファイトスタイル。
日本で戦っていたころの精密機械のような相手のガードの隙を狙う省エネボクシングは鳴りを潜め、ガンガン前に出て戦うスタイルへの変化です。
丁度亀海がアメリカへ主戦場を移した時のようなスタイルの変化でした。
しかも引退前の的確なボディブローは健在。
腹が少し出るような感じだったので、ちょっと重いイメージありましが、動きを見る限りでは問題はなさそうです。
現在WBAランキングでは、井岡の方がロマゴンよりも上位にランクされています。
そうなってくると、望まれるのは、過去に実現が出来なかったロマゴン対井岡の対決。
海外のボクシングファンにとってはロマゴン対井岡はランカー同士の試合の1つになるかもしれませんが、日本人にとっては数年越しでもみたい試合です。
かつて「ロマゴンから逃げている」と言われた井岡。
プロモーターである父親の意向も多少は反映していたと思うので、その影響から離れた今は、実現の可能性大です。
しかも、現在の井岡とロマゴンは、直近の2人の試合を見る限り、互角の勝負をしそうな気がします。
体格を見ても井岡165cmに対しロマゴンは159cm。
さらに、引退撤回、そして復帰からの1戦目であのパフォーマンスが出来れば次戦はより良いパフォーマンスを井岡は見せてくれるでしょう。
「普通のボクサー」になってしまったロマゴンであれば、今の井岡ならいける!というのは少し寂しい言い方ですが、多くのファンが楽しみにするところだと思います。
さらに、まだ先の話にはなりますが、WBSSのスーパーフライ級もはじまるかもしれません。
現在、「SUPER FLY」というその名の通りスーパーフライ級にスポットライトを浴びせているイベントもあります。
そうなれば、嫌でもこの2人への注目度は高まるでしょう。
まとめ
View this post on Instagram
ローマン・ゴンザレスは間違いなく強いです。
ただ、スーパーフライに上げ、その圧倒的強さはなくなりました。
5階級も6階級も制覇したパッキャオやメイウェザーはやっぱりすごいんですね。。
かつての強さはなくなりましたが、井岡との対戦も現実実を帯びてきたので、是非楽しみにしたいです。
しかし、井上尚弥もロマゴンとの対戦をスーパーフライで望んでいましたが、おそらく圧倒的に勝っていただのではないかと。。
階級は一つ上ですが、先日のパヤノ戦を見ると、どうしてもそう思ってしまいます。
スポンサーリンク
コメントを残す