日本ではなかなか耳にしないかもしれませんが、ONE Championshipはすでにアジア域では日本の総合格闘技団体よりもその知名度・実績を獲得していっていると言ってよいでしょう。
そんなアジア発の格闘技団体ONE Championshipが来年の3月いよいよ日本で大会を開催することを正式発表しました。
日本中そして世界中に数ある格闘技団体の中でONE Championshipはどこが新しいのか、今回は特にそのルール設定の中でも「格闘技の命」とも言える「体重ルール」について考察してみたいと思います。
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ONE Championship 先進的な階級・体重の考え方
私が個人的に思う、ONE Championshipが他団体と違う新しい取り組みというか、違う点は独自の体重ルールです。
以前書いたようにONE Championshipは階級制を採用していますが、この階級制であろうと、PRIDEのようにワンマッチとトーナメント方式で試合を展開する団体であろうと、格闘技において「階級・体重」というのはとてつもなく大きな要素です。
総合格闘技に限らず、ボクシングもレスリングも柔道も、この決められた「体重以内」の者同士が戦うというのが最低限ルールとなっています。
しかし、近年この体重制の試合で大きな問題になっていることがあります。
それは、前日計量と当日試合をする時の体重差があまりにも違うというものです。
ちなみにこれは、先日五味隆典選手がライジン12で勝利を収めた後の記者会見でも声を大にして言っています。
詳しくは動画検索してみてみて下さい。
簡単に言ってしまえば、例えば70kgの階級で試合があったとします。
ある選手は本来のベスト体重が80kgだとして、地獄ともいえる減量(水抜き)やハードトレーニングで無理やり10kg減量し、前日計量で70kgの計量をパスします。
しかし問題はここからです。
なんとその選手当日の試合には、体重を10kgもとに戻し(増やし)、自分のベスト体重80kgへ体重を戻してしまうのです。
もちろん当然のごとく試合自体は70kg階級の試合ということで、淡々と行われるのです。
これは階級制を用いる、ボクシングやキックボクシング、総合格闘技の世界で長年の問題・課題とされてきています。
この計量後に何キロ戻せるかというのは、選手それぞれの身長や骨格・体重、消化器系、発汗機能などの体質によって全然変わってくるのです。
3kgしか戻せない選手もいれば10kg戻せる選手もいるのです。
結果、70kg級の試合と言いながら、試合当日は73kgの選手と80kgの選手が相対しているみたいなことはかなり、暗黙の了解で普通に行われています。
なぜなら勝ちたいからです、理由は簡単です。
正直グラウンドや寝技の多い総合格闘技では、5kg体重差があれば軽い方は圧倒的不利と言われています。
体重というのは格闘技においてそれだけ重要な部分なので、かなり長文でかいてしまいましたが、ONE Championshipの体重制度はこの従来の体重制にメスをいれた厳密なルールを取り入れています。
では次項で詳しく説明しましょう。
ONE Championshipの厳格な体重制度は未来への投資
ONE Championshipはかなり厳密な体重制度を公式HP上でもはっきり告知しています。
以下そのまま抜粋します。
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選手は現在の「ウオーキング・ウェイト」と日常の稽古体重を専用ウエブサイトに記録しなければならない。
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選手の体重階級は集めたデータとスポットチェックより決する。試合前8週間以内、体重階級を変更するのは禁止されている。
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試合の週中、体重は毎日計れる。尿比重も登場の一日後と開始3時間前に調査する。選手の体重又はテスト結果は不適格の場合、失格となる。医師は追加的なテストを需要できる。
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キャッチウェイトの競技は許可されている。但し、差異はより軽い競技者の体重の5%を越えられない。
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ONEは選手の体重をスポットチェックする権利を有する。
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試合前8週間以外、選手は体重階級の変更を依頼できる。それと、選手は新たな体重制限以上、尿比重テストも満たさなければならない。ONEの医師は体重減少率を計るために追加的なテストを需要できる。
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水分補給するためにIVを使うのは禁止されている.
引用:https://www.onefc.com/jp/martial_arts/
専門用語も飛び出すので少し難しいかもしれませんが、要は適正体重以外での無理な体重の増減は禁止され、いかに厳格に選手の健康・体重や階級が団体によって管理されているかということが分かると思います。
これはUFCでさえ取り入れていない世界初の体重ルール制度だそうです。
ちなみにアメリカの格闘技界でもこのシステムの導入を普及するよう活動が活発になっています。
私自身もこの体重制度に大賛成です。
何が一番そう思うかというと、1日で10kg落としたり増やしたり、10kgも重い体重差の相手とやるなんて、選手生命が短命に終わるのは当然です。
そここそが、ONE Championshipがしっかり未来を見据えているなと思える理由です。
結局格闘技の団体がいくら大きくても、試合をするのは選手です。
選手は宝であり、一時の名誉や収入の為に、身を削るような、管理体制では将来がないに決まっています。
是非みなさんもONE Championshipを、ただ試合だけでなく、こんな一面からも観ると面白いと思います。
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