柔道家が総合で活躍するには

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石井慧選手、吉田秀彦選手、小川直也選手。

彼らは皆、日本のお家芸「柔道」でその頂点を極め、後に総合格闘技へ参戦したファイターたちです。

日本の大晦日の格闘技にも何度も参戦しているので、日本人であれば一度は彼らの名前は聞いたことがあるでしょう。

そのくらい有名なファイターです。

彼らのような「柔道」のスペシャリストが総合格闘技へ参戦するのはそう珍しい話ではなく、彼らのように有名な選手からそうでない人まで含めれば、実に多くの柔道出身選手が総合格闘技へと飛び込んでいるのが現状です。

今回は、この「柔道」で頂点を極めた選手が、総合格闘技の世界でも活躍するにはどのような練習が必要か?どんな点に気を付けなければいけないのか?考察してみたいと思います。

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着衣の戦いを忘れよ!

個人的に思うのは、まず柔道家選手が総合へ参戦する時点でパンチがどうの、タックルがどうの、打撃対策がどうの、そんなことよりも大切なのは、「着衣を着ていない」ことに慣れるのが重要ではないかと思います。

柔道という競技はまず、相手の道着を掴むことから始まります。

10代のころから昼も夜も柔道一筋で生きてきて、オリンピックや世界選手権で優勝してしまうような人たちにとって、相手と対峙した時に、この「道着を掴む」といのはまさに呼吸と一緒、無意識に体に染みついてしまっている動きで、なにしろ「道着を掴む」こと抜きに柔道は始まらないからです。

そしてこれはグラウンド状態・寝技状態でも同じことが言えます。

スタンディング状態よりも少しましになる程度で、やはり道着を着ていない状態でのグラウンドの攻防は、掴むことが出来ない、汗で滑り抑え込みが出来ないなど、柔道で練習している寝技の状況とは似て非なるものでしょう。

但しこれらは、両選手とも柔道着を着ていないという前提の話です。

それぞれの団体のルールによっては道着着衣を認める団体もあれば、そうでない団体もありますので一概には言えません。

実際PRIDE全盛時の吉田秀彦選手は基本「着衣」で参戦していました。

近年は基本柔道出身選手も総合へ出るときは着衣なしで参戦することが多いので、今回はあえて両者とも道着なしの戦いということでお話をします。

 

柔道選手が総合へ参戦する際の強みとは!?

柔道選手が総合へ参戦する際の強みはということを考えてみる必要がありますが、よく言われるのは、柔道出身選手=寝技が強い、柔道選手はいかに寝技に持っていくかが重要という部分。

しかし、自分が思うに、柔道家=寝技・最強というのは総合格闘技の世界ではそんなに正しい表現ではないよう思います。

寝技が強いことは確かに間違いありませんが、着衣状態でない寝技の攻防やグラウンドでのポジション取りに関しては、残念ながら柔術選手のが上です。

またグラウンドでのポジション取りに関してはレスリング出身選手のが上です。

柔道選手が総合の世界でここだけは負けないという部分は、スタンドで組んだ時に相手を投げてテイクダウンする部分

この部分に関しては柔道出身選手はとても長けていると思います。

あとはやはり基本的な体幹や腕力が異常に強いということです。

厳しい言い方かもしれませんが、このくらいしか柔道選手が総合の世界で他の選手より秀でる部分はないかもしれません。

 

総合の世界で活躍するにはどの部分を強化すれば良いのか?

打・投・極が総合格闘技の三大要素ですが、やはり柔道選手にとってもっとも大事なのは、「打」の部分。

特にボクシング技術を上げることが最も大事だと思います。

 

ボクシング技術と言っても、単に殴る方ばかりではありません。

個人的に思うのはパンチをかわす・防ぐ技術が重要だと思います。

ボクシングやキックボクシングの試合を見れば一目瞭然。

基本的にこれら打撃系の格闘技は、選手同士が円で動くシーンが多く見られます。

当然そちらの方が、直線で下がるよりも、最小限の動きで相手の打撃をかわせるからです。

また、直線で下がって攻撃をかわすと、次に自分の攻撃を繰り出す際に、相手との距離が空きすぎてお話になりません。

その点、相手に対し円で動き打撃をかわせば、かわした後にすぐカウンターで自分のパンチやキックを相手に当てることが出来ます。

柔道選手が総合の試合に出て、負ける試合を観ると、やはり圧倒的に打撃でKO負けの試合がほとんどです。

しかも、その多くが安易に相手の正面に立ち、打撃をもらう、打撃で攻めてきた相手に対して、直線でそのまま下がってロープ付近でパンチを貰いKOというシーンがほとんどです。

柔道出身選手はまず、この相手に対し前後の直線で動く癖を直す必要があると思います。

 

では打撃の攻撃の部分に関してはどうか言うと、これはとにかく練習あるのみです。

正直柔道のみをやっていた選手というのは、打撃技術に関しては素人同然です。

ただしみっちり練習すれば、もともと尋常なほどの腕力、体幹があるので、正式なフォームでパンチさえ当たるようになれば、その破壊力は通常の選手よりあると思います。

秋山成勲選手がその典型です。

彼の総合での試合内容をみれば、むしろ柔道家の面影はあまりありません。

とにかくあの強靭な肉体から繰り出せるパンチの強さが一番の強みです。

ボクシング技術の向上こそが、柔道家出身選手が総合で活躍する為の近道であることの証拠です。

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