相撲出身選手が総合で活躍するには

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曙、把瑠都、戦闘竜、これらは日本の国技・相撲から「総合格闘技」の試合へ飛び込んだ選手たちです。

近年はあまりいませんが相撲から格闘技の世界へ入る人間は結構います。

相撲は格式や歴史に裏付けされた神秘の武道であり、柔道や空手以上にまだまだ私たちには分からない世界をたくさん持つ武道です。

今回はこの「相撲」出身のファイターが総合やK-1などいわゆる格闘技の世界で活躍するにはどうすれば良いのか考察してみたいと思います。

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決着が早すぎる武道・相撲

いろんな格闘技、スポーツ、武道をみてもこの部分が、相撲の最も特殊な部分だと個人的に思います。

試合の開始「はっけよい!!」から、決着がなんと平均10秒ほど。

これが相撲の世界です。

よってこの10秒の為に、力士は日々稽古し、この10秒の為の肉体作りをしている訳です。

一流の力士になればなるほど、この稽古により相撲取りの為の肉体になっているといえるでしょう。

そしてこの相撲取り独特の肉体・スタミナこそが、格闘技の世界で戦うにはかなりネックになってきます。

それでは少しづつ解説していきましょう。

 

まず、スタミナ面に関して言うと、「相撲」は完全に100m走タイプのスタミナになります。

総合格闘技やK-1は3分3Rや5分2Rなどのラウンド制をとっていることがほとんどなので、サッカーやバスケットのような持久力やスタミナ配分が求められます。

陸上100m走の選手が、いきなりサッカーをやれと言われても、そもそも90分戦い抜くスタミナや持久力がないのは当たり前です。この辺の肉体改革が元力士のファイターには必須でしょう。

 

元力士・相撲取りは打撃が得意なのか?寝技が得意なのか?

これはとても難しいテーマだと思います。

相撲は組技格闘技なのですが、サンボや柔道とは違い、張り手やかちあげといった「打撃的」要素も多分に含まれています。

実際に張り手でノックダウンしてる相撲の試合もたくさんあります。

しかしながら、組技では最強の呼び声もある相撲、握力、腕力、体幹の強さ、なにより190近い身長と150kg以上のモンスター級の体格は寝技ではかなり有利に働くような気もします。

まあ、これは同じ力士でも体格やリーチの長さ、身長などにもよって変わってくるので、一概には言えませんが、どういう攻め方、戦い方が元力士にとって有利なのか次項で自分なりに仮説をたててみました。

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パウンド!パウンド!パウンド!

結論から言うと、この「パウンド」で攻めるのが、元力士には一番よいと個人的には思います。

なぜ力士にとってこのパウンドが一番よいかと言うと、まずグラウンドで上になった時の圧力が違います。

パウンドで大事なのは、必ずグラウンドで自分が「上」の状態をキープすること、そしてなんと言ってもそのパンチ力に掛かっています。

パウンドの場合、ほぼ相手の腕でディフェンスされるケースが多いので、この相手のガードの上からでも効かせることができる「パンチ力」がなんといっても肝になってきます。

基本的に相撲の稽古を見ていれば分かる通り、稽古内容のほとんどは「前に押す」ということが共通して練習になっています。

なので、前に圧力をかけ殴るということはかなり相撲選手は長けていると言えるでしょう。

 

元力士が活躍する必須条件

 

ここまで、相撲取りのストロングポイントを語ってきましたが、今度は逆に元力士だからこそのウィークポイント、ここだけは修正しないと格闘技の世界ではやっていけないだろうというポイントを語ってみたいと思います。

まずはなんと言っても体重です。

さらに厳密に言ってしまえば、余分な脂肪です。

この余分な脂肪は、10秒程度で決着がついてしまう「相撲」では相手への圧力として有効だったかもしれませんが、10秒以内の決着はほとんど稀で、さらにラウンド制を用いているK-1や総合格闘技の世界ではマイナスに働くことが多いです。

また相撲の世界は「無差別級」で、体重制限はありません。

しかし、K-1や総合格闘技では階級制が前提の試合が多く、たとえ階級がなくてもラウンドを戦い切るスタミナがなければお話になりません。

おそらく、力士の脂肪の下には、厚い筋肉がもともとついているはずです。

なので、力士特有の生活習慣(無理して食べまくってすぐ寝る)さえ改善し、格闘家の練習内容に切り替えさえすれば、自ずと筋肉が浮き上がってくるでしょう。

そこはそんなに難しくないような気がします。

 

そしてもう一つのウィークポイントは、打撃や寝技ともに素人からのスタートという点です。

打撃出身(キックボクサー、ボクサー、空手etc)選手はその打撃が活かせます。

寝技系出身選手(レスリング、柔道、柔術)はその技がそのまま総合の技術としても使えます。

しかし、相撲はどうでしょうか?

これという格闘技でそのまま使える技がありません。

だからこそ、相撲取りの持ち味はその凶器とも呼べるフィジカルと相手を押し込む力です。

これを掛け合わせると、自然と「パウンドが一番」という結論に行き着きます。

みなさんもぜひそんな視点で格闘技や相撲を観戦してみてください。

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1 個のコメント

  • このシリーズとっても面白いです!

    ブラジリアン柔術の選手が総合で活躍するには
    もよろしければお願いいたします(笑)

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