五味隆典選手、山本KID選手、桜庭和志選手、いずれも文句のつけようのない日本が世界に誇る総合格闘家です。
実は一つ彼ら全員に共通していることがあります。
それは皆「レスリング」を格闘技のバックボーンに持っているという点です。
これはあくまで個人的な考えですが、レスリングをベースに打撃や寝技(関節技)も出来る選手というのが総合格闘技の世界では、一番理想的なファイターではないかなと思います。
(あくまで個人的見解ですが。。。)
今回はレスリング出身選手が、総合格闘技へ参戦し、活躍するにはどんな技術や対策が必要か語ってみたいと思います。
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レスリング=すぐにタックルへ入る、は捨てよ
まず、よく元レスリングオリンピック出場選手などが、総合格闘技へ参戦した時に、その立ち合いでよく見られるのが、とにかくタックルを獲ろうと獲ろうとする動きです。
はっきり言って総合の試合でレスリング選手だからといって「とにかくタックルを獲ろう」という考えは捨てた方がよいと思います。
レスラー同士が、レスリングのルールで、タックルを獲ろうというのは何の問題もありませんが、しかし総合ではそうはいきません。
総合ではまず、ローキックが飛んできます。
打撃に免疫のないレスラーが、打撃出身選手の本物のローキックを数発喰らうと、タックルで踏ん張る軸足の自由がすぐに利かなくなります。
そして、踏ん張りの効かない足で不用意にタックルへ行くと次に待っているのが、膝蹴りです。
どんな大会のどんなKOシーンを観てもそうですが、タックルに膝蹴りが見事にヒットするとその破壊力は絶大です。
体重が全部のっかっているので、まず起き上がることはできません。
あくまで総合の試合でタックルやテイクダウンを奪うのは、自分が打撃の被害を被らない状況が訪れたここぞ!というタイミングで入るのがよいでしょう。
レスリング×ボクシングは最強
またまた個人的な意見になってしまいますが、どんな団体の総合格闘技を観ていてもレスリング×ボクシングという組み合わせは最強のように思えます。
例えば長らくUFCのパウンドフォーパウンド1位に輝いていた「デメトリアス・ジョンソン選手」。
彼もまた、高校時代まではレスリングに没頭していました。
また同じくUFCにおいて、現在ライトヘビー級とヘビー級の統一王者に輝く「ダニエル・コーミエ選手」に至っては、アテネオリンピックに全米レスリング代表として出場を果たしており、その後総合格闘家へと転身しています。
彼ら二人のファイトスタイルに共通していることは、パンチのスキルがとてつもなく高いという点です。
コーミエ選手に至ってはレスリングオリンピック選手であるにも関わらず、むしろパンチで攻めることがほとんどで、勝利の半分近くが打撃によるKOです。
なぜ、レスリング選手はボクシング技術が高いのか考えてみたのですが、まず一つ挙げられるのが、尋常ならざる下半身の強さです。
パンチが強烈かどうかは、下半身や腰のふりに掛かっています。
素人がボクシングジムへ通うと、まず指摘されるのが腕から先のフォームでなく、足を踏ん張るポジションや腰の回転や肩の回転を徹底的に修正させられます。
パンチの威力は拳だけの強さで決まってくるわけではない証拠ですね。
次にあげられるのは、レスリング選手の瞬発性です。
特にレスリング・フリースタイルの選手にそれが言えます。
コーミエ選手を筆頭に総合格闘技で活躍する元レスラーは皆フリースタイルの選手が多いです。
みなさん、レスリングのフリースタイルの試合をオリンピック中継などで観たことはあるでしょうか??
タックルを獲るか獲られるかの攻防は正直、素人の目には追えないほど速いです。
特に体重の軽い階級になればなるほど、その感覚は投げ技格闘技にも関わらず、まるで打撃格闘技を観ているようです。
レスリングフリースタイルはそのくらい瞬発性を要し、その瞬発性を継続して行うスポーツなのです。
これは打撃の瞬発力・反射神経にとても通じるものがあり、これは柔道や相撲にはあまりない感覚だと思います。
結論になりますが、レスリング選手は総合格闘技へ参戦すると決めた直後から、まずは1にも2にもボクシングスキルを徹底的に磨くべきだと思います。
これは、総合の打撃に慣れる為程度の話ではなく、むしろ逆で、レスリング選手だからこそ打撃(特にパンチ)の強さで頂点を獲れる可能性があるからです。
これはすべて、デメトリアス・ジョンソン選手、ダニエル・コーミエ選手、五味隆典選手、山本KID選手の活躍で証明されています。
それともう一つ重要なことがあります。
総合の試合ではやはり打撃の応戦が花形のように思えますが、実はじっくり試合を観ると意外にも、
スタンド状態でお互い組み合っている、
グラウンド状態でどちらかが下の選手を抑え込んでいる、
こんな時間の方が圧倒的に長いのです。
格闘技をあまり見たことのない人は、派手なKOや一本ばかりに目がいきますが、実はこの抑え込みや地味に行われるポジション取りの優劣が、試合の采配に影響しているのです。
その点において、正直レスリング選手の右に出るもはいません。
これも元レスラーが総合格闘技の世界でトップになることが多い理由の一つなのです。
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